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12. 南極の湖沼底に広がる特異な生態系

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摘要

極限の低温環境というイメージのある南極だが,実は南極大陸が生物に乏しい直接の原因は温度ではない。低温により水が凍結するため,生物が利用できる液体の水がほとんど存在しないこと,つまり乾燥に原因がある。地球上の生命は水の存在を前提とした分子で体をつくり,水の存在下で機能する酵素で物質代謝を行う必要があるため,液体の水の存在の有無が,生命の存在を直接左右するのである。南極大陸のほとんどは厚い氷床で覆われており,わずかな陸地は乾燥した沙漠のような状況で,夏の雪融け水に依存したわずかなコケ植物や地衣類からなる植生しか見られない。そんななか,雪融け水が溜まった湖の底には,想像を絶するほどの豊かな生態系が存在することが明らかになってきた。湖の表面を覆う氷は2m程度の厚さにしかならないため,それ以上の深さがあれば通年で液体の水が存在することになる。湖底は,緑藻や珪藻などの藻類とシアノバクテリアのマットで覆い尽くされ,多様なバクテリアが生息している。その間隙には繊毛虫などの真核微生物や,クマムシ,センチュウ,ワムシなどが食植者として住みついている。ミジンコなどの捕食者はほとんど分布せず,また南極大陸全体で湖沼中には魚類は全く見つかっていない。これは,生態系ピラミッドの頂点である捕食者を欠く,極めて特異な生態系であると言える。南極の湖沼生態系を特徴付けるもう一つの構成員は,水生のコケ植物である。南極以外でも,高山の湧水地などの低温で栄養塩に乏しい水中には,コケ植物が群落を形成することはよく知られている。南極の湖沼もこれら同様,コケ植物が湖底を覆うように旺盛に生育していることが多いが,昭和基地周辺の湖沼底では,コケ植物が高さ80cmにも及ぶ塔状の大規模な植生構造を作っていることが明らかになった。この植生構造は「コケ坊主」と名付けられ,その構造や構成生物群,発達年代などが詳細に調べられてきた。今やコケ坊主は,内部で物質?エネルギー循環系を持つ一つの生態系として認知されるに至っている。近年,南極氷床の下に,もうーつの莫大な生命圏が存在することが明らかになった。氷床表面の気温は零下80度にもなるが,厚い氷床が断熱材となり氷床下に冷気は及ばず,また岩盤からは地熱が供給されるため,氷床底部の温度は零度近くにまでなる。このため南極氷床底部は広い範囲で融解し,融け水の一部が岩盤のくぼみに溜まることで,各所に氷底湖と呼ばれる湖までもが形成されていることが明らかになっている。米国は,滅菌した水を用いた熱水ドリルを使い,2013年2月に小規模な氷底湖から湖水や湖底堆積物の試料を得て,多くの新規バクテリアを報告している。近い将来,南極氷床下のバクテリア生態系の全体像が明らかになっていくことが期待される。

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